また、エリザベスさまの思い出が続きます・・・
最期の短い時間を共に過ごさせて頂いている間に、エリザベスさまの過去世が、ヴィジョンで見えて参りました。
エリザベスさまは、新吉原が全盛期であった頃のある大店(おおだな)の太夫(だゆう・頂点の中の頂点、普通のお客では、絶対に手の届かない孤高の存在の花魁さん)でいらっしゃいました。
名前は、なんとなく「襟袖太夫」のように聞こえて参りました。
純金のかんざしを美しく結った豊かな髪にいくつも刺し、金糸で編んだ帯を豪華絢爛な銀色の着物の上に締め、奥の方にある、普通のお客がまったく到達できない場所にある部屋にひとり佇む、孤高の存在でありました。
その部屋の手前の部屋に住んでいたのが、SさんとSさん宅にいるすべての猫ちゃん達です。
同じ部屋のチームのようなまたは家族のようなメンバーです。
Sさんは襟袖太夫のお世話係であり、妹分の役割である若手の「新造」(しんぞう、花魁さんになる手前の見習い)でした。
サンちゃんは、襟袖太夫とSさん付きのとっても忠実な男衆(おとこしゅう、マネージャーのような役割)。
メタちゃんも、若い男衆。気が弱いが力持ち。
マイケルは遊び人の店の若旦那。時々、他の店にも遊びに行ったまま、帰らないこともあった。戻って来てからは心を入れ替えて真面目に働いていた。
クロス君は、ある亡くなった花魁さんが産み落とした男の子。あまりにも面白い子であった為に、里子に出されず、皆のおもちゃのような子として可愛がられていた。
ハニちゃんはチャーミングでアイドル的人気を持つ花魁さん。ライバルには厳しい。そしてかなり嫉妬深い。
マリヤちゃんは、しっとり大人系クールな花魁さん。乳がんになってしまい療養中。
アテンちゃんはハニちゃんと競う美形花魁さん。大人しくて静かだけれども芯が強い。
プリンスちゃんは負けん気が強くて努力家の花魁さん。根強いファンも多い。
襟袖太夫は、部屋の皆に対して、とても情も深く、優しく親切であった。しかしプライドも高く、病に罹ってしまうと、弱々しく痩せ細った姿を誰にも見せたくなく、みずから部屋を出て、最後は療養部屋に移って行った。
私は、たぶん、店の専属漢方医のようなことをしている者であり、手の施しようもない患者さんを看取る部屋の担当もしていたはず。
だから、今回もエリザベスさまは、本当は大好きなSさんや他の子達と一緒に過ごしたい気持ちはやまやまであったにも関わらず、苦しんで弱った姿をさらしたくない、心配をかけたくないという苦渋の決断をし、最期はこちらに来たのでした。
私は、有難いことにこれまで多くの人や動物さんを看取らせて頂いております。
最期の瞬間に、天界から天使達が舞い降りて来て、生きている肉体から魂が離れていき、天使達に付き添われて、天界に昇天していくという場面に立ち会わせて頂くことは、至極の光栄なことであります。
その時に、手助けが必要な場合は共に私も天界に付き添って昇っていくのです。
しかしエリザベスさまの場合はまったく手助けなど必要ではありませんでした。
亡くなる直前の生きていらっしゃる時から、もうすでに9割は天界の虹色の光の中に入っていらっしゃいました。
素晴らしい瞬間に立ち会わせて頂き感謝に堪えません。