jupesjupesの日記

Lanai Fukudaのくだらない日々

なるちゃんの奇跡

奇跡の連続は、こちらに保護する猫ちゃん達、全部がつながった一連の物語のようなものです。

 

まずは、そのひとつ「なるちゃんの奇跡」から・・・

 

なるちゃん、との出会いは今年の春頃でした。

 

他の現場で保護して生徒さまの四国に旅立った「るなちゃん」と顔や特徴があまりにもそっくりであった為と、男の子であった為に女の子の「るなちゃん」の反対の「なるちゃん」と名付けたのでした。

 

「なるちゃん」は、すでにどなたかが、病院に連れて行ってくださっていたようで、最初から右耳がさくら型にカットされていた子でした。

 

私が猫フードをあげていたお宅、Nさんの横の団地の庭にある日突然「なるちゃん」は現れ、最初は慎重に近づいてきていたのですが、その様子は、なんとなく飼われていた猫のような懐っこい様子でした。

 

まだ身体は小さく、3,4か月の仔猫という感じで、可能なら、保護してあげたいと思い始めたのでした。

 

日々、段々距離が縮まって来てこちらが「なるちゃん」と声を掛けるとちゃんと「ひえーひゃー!」というような悲鳴を上げるような特徴的なお返事をするようになってきたのです。

 

私の自転車の音を聞きつけると、たいていは団地に隣接している公園の植木のてっぺんから、ジャンプして降りてきて、道路やガードレールに身体じゅうをこすりつけ、甘えるポーズをするのでした。

 

しかし、こちらが触ろうとすると、するっとすり抜けて逃げてしまい、どうにも捕まえるのが難しい子でした。

 

なるちゃんは外にいるにもかかわらず、いつもグルーミングをしているおかげか、白い毛が真珠のように輝くきれいな猫ちゃんで、少し触れると毛はふわふわと柔らかいのでした。

 

いつも公園と団地とその近所の家のどこかに潜んでいる風で、公園の主に君臨していましたが、人懐っこい感じは、もしかしたら、半分どこかで飼われているのか、とも思えました。

 

そんななるちゃんが、ある日、いつもの時間にまったく姿を見せなかったのです。

 

毎日、これまで姿を見せなかったことがなく、心配になって参りました。

 

「なるちゃん、なるちゃん」と呼ぶと、遠くの方で、なるちゃんのかすかな鳴き声が聞こえました。

 

しかし、周囲を探しても姿がまったく見えません。仕方なく、いつもの場所になるちゃん用にフードを置いておきました。

 

そして、次の日、同じ時間になるちゃんのいる公園に行くと、また私を呼ぶ叫び声は聞こえますが、姿が見えません。

 

異変を感じて、いつも餌を置かせて頂いているお宅「N」さんの庭の奥まで入って行き、声がする方向を見ると、なんとなるちゃんが、そのNさんのお宅の庭に面したお部屋の中から締め切られた窓越しに必死でこちらを呼んでいる姿がありました。

 

なるちゃんは、ガラス窓をよじ登ろうとしたり、身体をぶつけたりして私に助けを乞いていました。

 

なるちゃんはきっと開いていた隙間からNさん宅に入り込んでしまい、出られなくなってしまったのでしょう。

 

Nさんは以前、ブログにも書かせて頂いた、お庭にキャットフードを置かせて頂いているお方で、とても猫に対しても寛大で紳士なお方なのですが、ガラス窓から垣間見えるお宅の中は、いわゆる「ごみ屋敷」であり、万年床の周囲におびただしいほどの段ボールが積みあがっているようなお宅でした。

 

とても猫など飼えるような環境ではなく、というより、人間がどうやって住めるのか疑問なほどのお宅なのです。

 

早速、以前、うかがっていた電話番号に電話を掛けてみるとNさんが幸いにも応答してくださいました。

 

状況をお伝えすると、いつになくイライラした声で、

 

「そうなんですよ!猫が入り込んで困っているんです!なんとかしてください!布団にうんちをされたり本当に困っているんです!」

 

と、おっしゃいます。

 

「それではお帰りになったら、捕まえさせて頂いても宜しいですか?」

 

と聞くと、

 

「そうしてください!こっちは本当に困っているんだ!」

 

と、怒鳴って参ります。

 

Nさんが帰宅するのを待って、夜の8時くらいにお宅に入らせて頂くと、そこは外から見える以上に、おぞまじいくらいの混とんとしたお屋敷でありました。

 

玄関から、すでにゴキブリの死骸があちらこちらに散乱しているところに、履いていた餌やりようの長靴を脱ぐのにも躊躇致しましたが、やはり他人のお宅ですから、恐る恐る脱いで入らせて頂くと、廊下から奥の部屋まで天井まで積み重なった埃だらけの段ボールの山々があり、そこを掻き分け掻き分け、なるちゃんがいた奥の部屋までなんとかたどりついたのでした。

 

しかし、なるちゃんは、私が外で呼んだ時は、すぐに現れましたが、Nさんの姿を見るや否や、段ボールの山々の秘境に潜り込んでしまい、どこを探しても見つかりません。

 

もしかして、と思い、押入れを開けると、ガラス玉のような目がきらっと光ったかと思うと、恐怖で私の頭上をジャンプして飛び越え、またどこかに潜んでしまいました。

 

するとNさんは、まるで鬼が入ってしまったかのように真っ赤な顔をして怒り出し、モップを持ってきて、そこら中をバンバンと叩きながら「出てこい!このやろう!出てこい!こっちは眠れなくて仕事に差し支えているんだ!」と乱暴な行動を始めました。

 

そのうちに「全部の窓を閉めてバルサンを焚いて締め出してやる!」

 

と、おっしゃいます。

 

「それでは死んでしまいます。動物愛護に反する犯罪ですよ!それに死んだら、死臭で大変なことになりますよ!こちらで捕獲しますから、Nさんは席を外してください」

 

と、説得すると

 

「なんとかしなさいよ!本当に困っているんだから!しばらく外にも餌を置かないでくれ!」

 

などとおっしゃいます。

 

今後の餌やりのご協力も頂けなくなると、困る為(真となりは、猫嫌いな人の家であり仁王立ちに見張って怒鳴り散らすおやじがいます)、なだめすかして、食事もまともにとれない(どうやって食事をしているのか不思議・・)と怒るNさんに席を外してもらい、なるちゃん捜索を一人で始めました。

 

Nさんは、たぶん有名な科学者か、エンジニアと見え、国からの表彰状などが数多くあり、また置いてあるものはアカデミックな本の山や書類の入った段ボールの数々、なのでした。

 

やはり科学者のような方は、ユニークな方が多いのでしょう。

 

Nさんからうかがった以前のお話によると、娘さんとお孫さんがいたそうなのですが、こんな場所には、実家といえども、近づくことはできないでしょう。

 

奥さまもきっと出て行かれたに違いありません。。。

 

息をするのも苦しくなるような部屋の中に、少し乾燥したなるちゃんのうんちをいくつか発見致しました。なるちゃんの健康的な排泄物を見て安心致しましたが、それに対しても怒ったNさんは、片付けてくださいよ!と怒鳴って参りました。

 

そんなものよりも、ゴキブリの死骸の多さの方が気にならないのか、不思議でした。

 

そして、数時間、段ボールの山々を掻き分け掻き分け、なるちゃん捜索しても、恐怖におののき、固まったなるちゃんは一向に姿を現しませんでした。

 

その夜は、Nさんに頼み込み、なるちゃんが外に出て来られるように、雨戸と窓ガラスを開けておいて頂きました。

 

そして縁側のところに一番美味しいフードを置き、なるちゃんをおびき出そうとしました。

 

しかし、翌朝行ってみると、Nさんは約束を守ってはくださっていなかったようで、窓ガラスはぴったりと閉まっており、なるちゃんが外に出られない様子になっていました。

 

ただ、鍵は開いていた為に、そっと中に外履きのまま入ることができました。

 

日中何度か行って中を捜索してもなるちゃんは出てきませんでした。もしかしたら、もう外に出ていったのかも、とも思えましたが、外でなるちゃんの声は聞こえませんでした。

 

夕方、なるちゃんのご飯の時間に、再度、Nさんのお宅の外でも中でも「なるちゃん!なるちゃん!」と名前を呼んでみました。

 

すると家の奥の方から特徴的な、なるちゃんの「ひえー!ひゃー!」という私を呼ぶかすかな声がします。

 

名前を呼び続けて、家の中に入ってみると、その叫び声がどんどんと強くなってきました。

 

再び段ボール山脈を掻き分け、奥の方に入っていくと、前日見つからなかった為に、Nさんがぴったりと閉めてしまった押入れの引き戸を開けると・・・

 

押入れの中で、なるちゃんが「ひゃー!」と叫び、私を見あげているではありませんか!

 

なぜにここに!昨晩、どんなに探してもいなかった押入れの奥の中に潜んでいたとは・・・

 

かがんで、首根っこを掴むと、もうすっかり脱力して、素直に抱かれるなるちゃんがおりました。

 

そして、どうやって運ぼうかと思案していると、すぐそばに、ちょうど良い大きさの空の段ボールが転がっています。

 

すかさず、なるちゃんを段ボールに入れると、なるちゃんはまったくの無抵抗で大人しく段ボールの中に納まり、まったく動こうとはしませんでした。

 

これまで数か月、私の前で路上に転がって甘えるも、一度も触らせてくれなかった念願のなるちゃんの毛皮は、思ったよりもふわふわで、若い猫そのものの小ささと軽さと柔らかさで感動しておりました。

 

そのままお縄になったなるちゃんを保護して、たくさんいる仔猫の部屋のケージの中に入れました。

 

Nさんにその旨を報告すると、ものすごくお喜びになり「さすが!すごいですね~有難うございます。これでやっと安心して眠れます」などとおっしゃいます。

 

あの段ボール群の中で再び、Nさんの静かな日常が戻ってきたのです。

 

こちらは捜索の為に動かしてしまった段ボールやお部屋を片付けさせてください、と申し出ると、

 

「いやいや、お恥ずかしいくらいに汚い部屋ですから、結構です」

 

とおっしゃる謙虚なNさんが戻っていました。Nさんから鬼がすっかり抜けたかのようでした。

 

そして救助したなるちゃんは、3日間ほど飲まず食わずの中、恐怖の日々を過ごしていた為に、しばらくトラウマが残っていたようで、保護部屋の中でも、おびえて、冷暖房機の上に避難し、おりられずにそこでおしっこをしてしまったりしていました。

 

しかし、おかげで冷暖房機の内部の大掃除ができて良かったかも知れません。

 

最初は11匹もいる仔猫の中でなるちゃんはずっとおびえて縮まっていましたが、段々、仔猫の数が減り、最後はなるちゃんと保護したメイちゃんとさびちゃんだけになると、本領発揮をし出し、私の声に返事をし、甘えて膝に飛び乗ってくるようになりました。

 

なるちゃんを病院で診察してもらうと、歯もきれいで身体はまったく問題のない、8か月ほどの若い猫であるということでした。

 

なるちゃんは私に恩を感じているのか、異常なくらいに甘えてくるようになりました。

 

しかし、ここでずっと保護していることはできないし、家で飼うこともできません。

 

そこで仔猫を所望して来られたKさんになるちゃんと、残っためいちゃんをご紹介したのでした。

 

続く・・・

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甘えるなるちゃん

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甘えるなるちゃん