昨日は、ご近所さまから家族探しを依頼されていた、おばあちゃん猫」を新・ご家族さまにお届けにいって参りました。
そのご近所さんというのは・・・
私の為のハードな試練のお方でした・・・
以前、私の捕獲器を隠してしまったお方です。
その方との始まりは、私が作ってポスティングをしたチラシを見て、依頼の電話をしてこられてからでした。
その方が
「庭で餌やりをしている親子猫の娘猫を引き取って欲しい」
と頼んでこられたために、その子の家族を見つけて差し上げたのでした。
その娘猫ちゃんは現在、岡山でとっても幸せな愛され猫ちゃんになっています。
しかし、その猫を保護していた男性は、当初から言動が奇妙であり、失礼ながら精神疾患があるお方だと思っておりました。
ただ、こちらは猫を大事にしてくださる方は、貴重であり、むげにはできない、と思うため、その方にはできる限りのお手伝いをさせてもらったのでした。
しかし、こちらが親切な言葉を掛ければ掛けるほど、馴れ馴れしくなり、甘えと依存が徐々に始まり、わがままも助長させてしまったのでした。
猫を飼っていて、精神を病んでいる方との付き合いというものは、大変難しいものです。
猫を人質に取られているようなものですから、簡単に切り捨てるわけにも参らず、爆弾を抱えるかのように、当たり障りなく接するしかございません。
その方の言動も、精神を病んでいる方の特徴のひとつでした。
良くしてくれる人に対して、子どものように反抗し、こちらを試す「試し行動」のような態度を取るのです。
更にその方はヘビーなアルコール依存症とたばこ依存症をお持ちで、仕事もせずに朝からずっと酩酊状態になっている様子でした。
こちらとしては、たくさんの猫を抱えていらっしゃるその方をむげにもできずにおりましたが親切な言葉を掛ければ掛けるほど、横暴になり、そしてストーカーのように待ち伏せをされたり、玄関で居座り続けられたりと、迷惑行動も酷くなってきてしまったのです。
異常な行動を助長させたくなく、無視し続けるしかなかったのですが、今年になって急に電話があり、いつになく神妙な口調で、
「血を吐いた、救急車を呼んだからあとは頼みたい」
という旨の連絡がありました。
以前より、おそるおそる禁酒を勧めておりましたが、こちらのアドバイスなど、「うるせー!勝手だろ!」と歯向かって叫んで参りましたので、それ以上は何も言えず、様子を見守るしかありませんでした。しかし、いつかはこうなるだろうという予想はついておりました。
その方は入院先でもこちらには傲慢な依頼をしてこられました。
「パソコンを持って帰って保管してくれ、バイクのカギを持っておいてくれ、猫に餌をやってくれ」という風にいろいろと頼んで参りました。
もちろん猫ちゃん達には罪はありませんので、「家に残された猫ちゃん達に餌やりは致しますが、大事なものを預かって何かあったら困りますから、保管はできません」と断ると「なんだと!盗まれたら弁償しろよ!」と電話口で勝手なことを叫ぶありさまです。
人にものを頼む時に、そういう言い方しかできないとは、ご自分の立場をまったく分かっていないご様子です。
しかし、猫ちゃん達は気の毒ですから、毎晩、置いて行かれた鍵を開けて、猫ちゃん達のお世話に約2週間ほど通っておりました。
家の中は、まるで失礼ながらホラー映画さながらの惨状でした。
散乱したおびただしい山積みの私物と猫の餌に、猫トイレの糞尿、そしてその隙間に、飲みかけの缶酎ハイの缶が転がり、あちらこちらにたばこの吸い殻に、そこに吐血した血があちらこちらに飛び散り、・・・と入る度に「ギャー!わー!」と暗闇の中で叫びながらの作業でした。
ため息をつきながら、多少は片付け、吐血物は洗い、猫が安全に過ごせるようにと気を使いました。
しかし、その猫爺から、時々掛かってくる電話では、「電気つけっぱなしにするな、しっかり戸を閉めろ」とわがまま放題、言いたい放題に命令する言葉がこちらの神経を逆なで、腹立たしいこと限りなく、しかし、その猫爺がどうなってもたとえ死んでも構いませんが、残される猫が気の毒であり、心を静めて、対応しておりました。
天界は、
「すべて良くなるためのこと、負の出来事が正となる」
とおっしゃっていた気がしました。
天界がおっしゃる通り、大手術をして戻ってきた猫爺はすっかり大人しくなっておりました。医師から2回、死の宣告を受けたそうで、真剣にご自分がいなくなった後に残される猫のことを考えるようになったそうです。
そして禁酒を宣言致しました。
一回でも飲むと死ぬ、と言われたそうです。
そして飼っている猫ちゃん達を一匹ずつ新たな家族を探して欲しい、とも依頼してこられました。
それで、昨日、とっても素晴らしいご家族さまが見つかり、その方のお車で埼玉県のお宅まで猫ちゃんをお届けに行ってきたのでした。
その方は、実はつい最近40年も連れ添った奥様を亡くし、その49日が終わった直後に愛猫ちゃんも旅立たれてお一人暮らしを余儀なくされたお方でした。
こちらの猫サイトを見て、何かが
ものすごくハートに響いたそうです。
インテリで紳士な方にもかかわらず、とても謙虚で礼儀正しいお方でした。
富士山が眺められる高層マンションの一室で、きれいに片付いた日当たりも良いお部屋で、ともに穏やかに静かに過ごされることでしょう。
おめでとう!
ちゃびちゃん!
(以前の猫ちゃんのお名前。車中で、亡き魂はつぎの子に入りますよ、とお伝えすると、亡き奥様が名付けた前の猫ちゃんの名前を今度の子に、そのまま使うとおっしゃっていました)