jupes jupesの日記

Lanai Fukudaのくだらない日々

オニババとゴミの中の聖人

 

11月になってから、毎朝暖かい日差しを感じ、幸せでいっぱいになります。

 

無条件に注がれる太陽の光は万人を幸せにしてくれますね。

 

11月は、覚えている限り、一年で一番天候が安定していて穏やかに暖かい月だと思います。

 

日照時間が短い分、お昼間に太陽が集中して日差しを地上に届けているようにも感じます。

 

できたら、常11月の国に住みたい・・・と夢を見てしまいます。

 

夕方の餌やりも早い時間から始めてもあまり目立たないために、とても楽なのです。

 

後の時間が長い為に、一日が得した気持ちになります。

 

最近のネコ活動では・・・

 

 

先日、問題のT地区にお住まいという高齢の女性から市役所を通して、連絡があり、

 

「うちの駐車場にネコが入ってきて車をネコ達が傷つける、なんとかして」

とヒステリックな針で突き刺すようなトゲトゲシイ言葉遣いの方の捕獲のお手伝いを致しました。

 

その方から、

 

「今日の1時までに捕獲器5台持ってきて」

 

と時間指定され、忙しい中、捕獲器を掃除したり、周囲を覆ったり、餌を準備したり、で必死になってその時間にお届けしました。

(私のエネルギーもその方の影響でイライラしていた為に、その騒動の中で、黒子ネコが一匹、倉庫の中に逃げ込んでしまったのでした・・・)

 

Mさんのお車で届けてみると、そのお宅は、もうすでに半年以上かかわって、捕獲作業をしている場所と10メートルも離れていない場所で、明らかにTNR済みのネコ達がいるはずだと思いました。

 

その高齢のご婦人は、つい最近、ネコを捕獲していたというTさんから、捕獲器の話を聞き、自分の家にネコを来ないようにするために、捕獲器を仕掛けたい、とおっしゃるのです。

 

「手術済みのネコが掛かったら放してくださいますか?」

 

とうかがうと

 

「えーあなたたちでやってくれないの?こっちが怪我したらどうするの?」

 

とおっしゃるので、こちらは住んでいる場所がここから30分以上離れており、見張っていることはできない、掛かったらさくら耳かどうか確認してください、自信がなかったら、ご近所でずっと捕獲をしてきたTさんにお手伝いをお願いしてください、とお伝えすると、ものすごく不満気な表情で

 

「分かりましたよ!ネコを排除したいからやってみる」

 

とおっしゃいます。

 

その言動がものすごく失礼千万で、ネコに対しても敵意と憎悪の感情しかなく、この人には任せたくない、とは思いましたが、どうしてもやりたい、とおっしゃるため、ご近所のベテランの方にもヘルプをお願いし、捕獲をやって頂くことになりました。

 

しかし、何日経っても連絡が一向にありません。

 

もしかして、捕まえたネコをどこかに持って行ってはいないか、と不安になり、業を煮やして、電話をしてみると、

 

「なんだかんだ忙しくてやってない、でもネコが車の上に乗って困る」

 

とまた文句をおっしゃいます。

 

それでは、と日を決めてやって頂くことに致しました。

 

ただ、捕獲器に預けておいた、餌を入れて、入り口に縛っているヒモを取れば良いだけの簡単な作業です。

 

それだけをお願いし、待ってみると、次の朝電話があり、

 

「5匹全部掛かったけど、近所の人が来て見たら全部耳が切れていた、近所の人に放してもらった、もう捕獲器は用がない、すぐに取りに来て、来ないなら離れたところに置いておく」

 

という内容の電話がありました。

 

やっぱり・・・

 

と思いながら、捕獲器を取りに行くと、ご婦人は

 

「もう本当に嫌だわ!ネコ全部どこかに持っていってよ、排除してよ!こっちは迷惑しているんだから!」

 

怒り心頭で言葉をぶつけて参ります。

 

この婦人は、こちらの掛けた労力や時間エネルギーに対してはまったくの労いもなく、文句の嵐です。

 

こちらは深々と丁寧に90度(慇懃無礼に、無礼至極のおばあさんがみじめに見えるように皮肉っぽくわざと)頭をさげて、

 

「申し訳ございません。私がお手伝いできるのはここまででございます。あとは、地域ネコとして皆さんがネコを見守って頂くしかございません。ネコの命は長くても5,6年です。お嫌いな方は、ネコが入ってこないように工夫していただくしかございません。駐車場にネコが入らないように、ネコが嫌がるコーヒーの粉や竹酢液をまいたり、お車を傷つけないように、お車にカバーをかけるとかおできになりませんか?」

 

と訊くと、

 

「コーヒーの粉なんかとっくにやってるわよ!それに車にカバーなんかしたら、放火されるわよ!そっちの方が怖いわよ!」

 

と激しい権幕で応戦して参ります。

 

横目でちらっとお宅や車を拝見しても、失礼ながら、安普請に見える古いもので、どうみても清潔できれいなお宅にも見えず、車も薄汚れて傷だらけの中古の車にしか見えません。

 

失礼ながらそんなものに、小さなネコの足跡が付くくらいで、頭頂部から煙が出ていように見えるくらい、血圧最高潮くらいに怒鳴る方。そんなに家と車は後生大事にしている宝物なのか・・・

 

婦人の顔はあまりにもどす黒く醜く直視できませんでした。

 

眉毛が逆立って、髪の毛も乱れ放題で逆立っているように見え、まるで気が狂った黒鬼のようにも見えました。

 

こちらでも言いたいことは山ほどありましたが、後にネコに毒を盛られてもいけない、と思い、

 

「申し訳ございません。私は単なるボランティアですので、こちらでできることはここまでございます」

 

と至極丁寧に、深々と頭を下げました。

 

するとご婦人は、挨拶も返さず、髪を振り乱し、踵を返し、ぷいっとばかりに家に入り、玄関のドアをバシッと閉めました。

 

退散しながら心の中では、

 

「このキチガイオニババは来世ゴキブリ界に転生決定しました。ネコにいたぶられて苦しみもだえながら死にまた再生し、何度も何度もいたぶり殺される、それが永遠とも思える時間、許されるまで続く・・・」

 

というヴィジョンが浮かんで参りました。

 

もやもやとした気持ちのまま、帰り道、そのすぐご近所で、少し前に、10匹近くを捕獲保護したMさんのお宅にも寄って、その後の様子をうかがってみようと致しました。

 

そのアパートはすべての窓が開きっぱなしで、風が通る、ふきっさらしの崩壊しそうな建物です。

 

内部は土埃が堆積した今にも足元が崩れ落ちそうな土間床に、天井まで積み上げられたごみの袋が所せましと置いてある、まるで何十年も放置されている、ゴミの集積所のようなアパートです。

 

その2階にお一人ひっそりと暮らしている男性がいらっしゃり、そのMさんが飼っていたネコ達を皆、ボランティアさん達と共に、引き上げて保護したのでした。

 

まだ母ネコが捕まっていない、というので、捕獲器を預けてあったのですが、前の晩、

「そこにアライグマが入ってしまった、どうしたら良いでしょう?」

 

とお電話があったのでした。

 

「とにかく、気を付けて入口を開いて逃がしてください」

 

とだけ言うと素直に

 

「分かりました、やってみます」

 

とおっしゃいました。

 

そのMさんのご様子をうかがいに、寄ってみました。

 

相変わらず、アパートの内部にはかつての住人の方々が置いていったであろうという何百ものゴミ袋が、静寂の中に鎮座しておりました。

 

しかし、訪ねる度に不思議に思っていたのですが、そのゴミ袋からもどこからも、一切、異臭がしないのです。

 

普通であったら、夏も何度も越して、ゴミは腐敗し、腐敗臭が酷く、ハエやゴキブリなども大発生しているはずなのですが、そういった害虫がいる様子もありません。

 

またこちらで保護したネコちゃん達は皆揃いにそろって懐っこく、毛並みが良く歯もきれいで健康であり、この環境の中で生まれ育ったのに不思議なくらいです。

 

一階の共用台所トイレも老朽の為に崩れ落ち、水もガスも止められているアパートです。

 

世界からぽつんと取り残されたその建物は、3次元にありながら、異空間に存在しているような風すら感じます。

 

そこでMさんに声を掛けてみると、まるで芝居小屋のようなガタガタした崩れ落ちそうなドアが開き、中から、すっと空気のようにMさんが出て参りました。

 

部屋の中も、数十年分のゴミが堆積している中で、いつもテレビだけが華やかに楽しそうにこうこうと光を放っています。

 

Mさんの姿は、いつも不思議なのですが、そんなごみの中に住んでいるとは思えないほど、身なりがきちっとしていて、髪も整えひげも処理されています。

 

「昨晩はアライグマが入ってきて困りました、慌てて電話をしてすみません」

 

と恥ずかしそうにMさんはおっしゃいました。

 

そしてまだいろんなさくらネコがくるけれども、来たらご飯をあげている、母ネコが来たら捕まえます、とおっしゃり、最後に、

 

「お疲れ様です」

 

ときっちりと私に頭を下げて労ってくださいました。

 

礼儀正しく挨拶もでき、マナーもきっちりとした方です。

 

その姿は、まるで聖人フランチェスコのように見えました。

 

フランチェスコも神父になる前は荒れた生活をし、人間とは付き合わず、動物さんにだけ心を開いていたそうです。

 

ゴミの中にいても、Mさんの周囲には、清らかで澄んだ空気が通っているように感じます。

 

 

Mさんはすごい、ただものではない、聖フランチェスコか、キリストか・・・

 

ゴミの中に潜んで姿形を隠しているけれども、実は密かに地上を浄化し、癒しているような気もします。

 

Mさんに会う前に嫌な気持ちになったものが、Mさんのエネルギーですーっと消えて浄化されていくのを感じました。

 

普通の家で普通の生活をしながらも、人間界のドロドロとした負のものを身にまとった普通のおばあさんと、普通ではない部屋で普通ではない生活をしながら、尋常ではない人であるMさん。

 

唯物主義、世俗主義排他主義のお婆

清貧主義、無欲で無償の愛の聖人

(武陵桃源・ぶりょうとうげん
・俗世間から離れたところにある平和でのどかな別世界かな・・・)

 

対極にいるお二方の、来世の明暗が分かれた気がします。

 

Mさんと出会えたのも奇跡の出来事です。

 

聖フランチェスコの生まれ変わりに出会えたことに感謝

 

 

Mさんが可愛がっていたゴンタ君。物静かで優しい子です。