餌やりをしている時には、いろいろと考えさせらることがあります。
特に害虫君達と接している時、彼らの存在意義っていったい何だろう、と疑問がわいて参ります。
その中でトップクラスはナメクジ氏達です。
置いておくフードに群衆のように群がっているおぞまじい存在達。
いつも水分を含んで丸々と太って膨れ上がっています。
しかし、水を掛けるとあっけなく流され、太陽によって干されるとあっという間に死んでしまいます。
しかし彼らの生きざまには学ばされます。
それは
「戦わずして勝つという戦略」
一見、弱そうであっという間に負けて死んでしまうけれども、その後、彼らが残したナメナメとした粘液の跡は乾いても決して消えることはなく、また彼らが一部でも触れたフードは、もう2度と食すことができません。
誤って、動物が彼らを食べてしまうと、内臓の中に毒素やウイルスを残し、遂には死を与えることもあるようです。
人間に対しても、見た目だけで一瞬のうちに人を嫌な気分にさせ、間違ってつい触れてしまうと、ぬめっと、そして胃の底からぞっとするような、人を地獄の底に突き落とすようなショックを与え、更に独特のぬめっとした洗っても洗っても落ちないぬめりとトラウマになるくらいの強い記憶を残してくれます。
また弱くぬったりのったりとしたペースであるにも関わらず、ターゲットを定めると狂いなく、着実に、また大群で襲い掛かってきて勝利を決めます。
彼らを見ているとものすごい程、執念深い性格を持った、生き強い存在に思えて参ります。
きっと過去世で、人間であった者たちが、なんらかの罪を犯した罪悪感を持ってナメクジ氏に生まれ変わっているに違いありません。
そう思って彼らを観察していると、尊敬すべき存在にも見えて参ります。
と言っても毎回、彼らを歩道に放置し、じんわりとした死刑執行をする私であります。