jupes jupesの日記

Lanai Fukudaのくだらない日々

王国の終焉

あり

先日、実家の大掃除をしていた時のことです。押入れの辺りに極小のアリさん達がちょろちょろと現われて参りました。

外であったら見逃すのですが、家の中にアリさんが出現することはありがたくない(蟻がたく無い)ことで、「来世は天使になるんだよ」と唱えながら、掃除機で吸い込んでしまいました。

しかし、吸い込んでも吸い込んでも次から次へとアリさん達が現われて参ります。疑念の心もちで恐る恐る、押し入れの床に敷いてあったものをはがすと、なんとそこには直径一メートルにも及ぶ、巨大なアリさん王国が出現したのです。

宮殿の屋根をはぎ取られた民のアリさん達は、突然の天変地異に大パニックを起こしながらも、緊急避難警報が発令されたようで、中央に備え付けられていた卵の孵化室を、まずは子孫を全員で守ろうということになったようで、全員が必死に卵のところに行き、皆、前足で卵を抱えて立ち上がり、外へと脱出を試みます。

自分が小さい罪のない民に対して、残虐で無慈悲で冷酷無情な破壊行動をする、まるでガリバーの巨人の怪物になったような気分になりました。

アリさん達は長い時間を掛けて一生懸命に安全な王国の地を見つけて、女王アリを守り、食糧庫も確保してゆっくりと王国を建設してきたはずなのです。

それを一瞬の内になんの理由もなく破壊されてしまうとは、なんという無情極まる悲劇でしょう。

必死で子を守ろうとして逃げまどうアリさん達を私は、無情にも掃除機の一番強い吸引にして一匹残らず吸い取ってしまったのです。

追い打ちをかけるように、そこに強力な殺虫剤まで撒いてしまいました。

ところどころに残党、いえ、逃げおおせた民を見つけましたが、その方々も、残らず捕獲処刑をしてしまいました。

少々心が痛みましたが「来世は天使に生まれ変わるんだよ」と全員に唱えることで、勝手に贖罪を果たしたつもりでおります。

しかし、地上でよく起きる地震や洪水など、人間が抗えない天変地異に苦しんでいる姿は、上から見るとアリさん達のようなものなのだろうと思えます。

自分自身も上から見たらはかないアリさんのような存在だと思います。