16日に、5日間のベルギーの旅より帰国致しました。
平和で穏やかな日本に戻ると昨日までの、中世の街並み、むせるほどの埃っぽい空気、喧騒、銃武装の兵隊さん達、イスラムの人々、移民の人々、でこぼこの石畳…すべて非現実的な夢かまぼろしであったような不思議な気分になります。
今日は梅雨の晴れ間で暑く、最高の洗濯日和で持って行ったすべてのものを洗って清めることができました。
到着した初日は暑く夏日のようで安心していたのですが、翌日からはほぼ毎日のように一日数回の冷たい雨が降り気温も13度から17度位の表示があり肌寒く、向こうの方が梅雨であったように感じられました。
しかし、夏の白夜が始まっており夜8時になっても昼間のように明るく、10時を過ぎる頃になりようやく夕方になるような不思議な毎日でありました。
私の仕事以外の旅ではいつもあまり下調べをせず、無計画で行き、現地に着いてから、その時の感じる気分で行き先を決め、行った先で何度も道に迷いながら、その時に出会った人に道を訊き、行き止まりで引き返してくる・・・のような気まぐれな旅を好みます。
なので、ツアーのような時間が決まっていて人と行動しないといけないものは本当に苦手で、今回も自分のそんな我儘勝手な旅をしたいと願っておりました。私にとって一番重要なことは、名所旧跡を巡ったり有名なものを観たり食したりということは、結構どうでも良く、その場所でのインスピレーションで何を感じるかを大切にしたいと思っているのです。
このベルギーには10年来なぜか気になり、いつかは行ってみたいと願っていたのですが、今回、なぜ行かなければいけなかったのかは、はっきりとは分かりませんでしたが、この「9」の年に過去の何かを終わらせなければいけない為に行ったような気が致します。
ベルギーで触れ合った方々は、ほとんどが道端のワンちゃん連れのミュージシャンの方々、ワンちゃん連れの物乞いの方々ばかりでした。
動物好きの私には、けなげにご主人様に寄り添って手助けしているワンちゃん達を見ると放っておけなく、どうしてもすべてのワンちゃん達に手出ししたくなってしまいます。
持っていたユーロをかなり小銭に変えて、行く先々でワンちゃん達をなでなでしながらコインを渡す度に、そのご主人様方にいたく感謝され、たぶん「神のご加護を」と言われて、強く握手されたり、ハグをされたりして、ずいぶんたくさん「神のご加護」集めをしてしまった感じでした。
ベルギーでの5日間の間の国の印象は、お隣の国、オランダの画家レンブラントの絵のようなはっきりとした「光と影」の融合のようなものだと思いました。
ベルギーは、EU本部もあり、非常に国際的で、言葉もフランス語、オランダ語だけではなく、アラブ語もアジアの言葉も飛び交っており、表示されている言語も様々で、時々英語は聞こえては参りますが、英語はあまり通じず、結局はジェスチャーでなんとかコミュニケーションが取れるような感じで、言葉ができなくても、何人でも受け入れてくれるような懐の大きなものを感じておりました。
人々も、ラテン系の白人の方々と混じり、肌の浅黒く彫りの深いイスラムの方々が街のほとんどを占めているように感じました。
イスラム系の方々は女性は色鮮やかな大きく華やかなストールを巻き、男性は髪をきれいに七三分けにしてスリムでおしゃれな方々を多く見掛けました。
両方とも、This it!「これはこれ!それはそれ!」Let it go!「そのまま行こう、解放しよう!」と言っており、地球ではなんでもあり、良いんだこれで、天界から言われているようでした。
映画FROZENの中では、お姉さんの氷の魔法を解くには「真実の愛」が必要だ、とされていましたが、真実の愛とは男女の愛ではなく、姉妹愛であったことが分かります。
それはやはり無条件の無償の愛、つまり天界の愛、のことかな、と思いました。
最後の印象としてはベルギーはもしかしたら天界のようにすべてを無条件で無償に受け入れてくれるところなのかも知れない、ということです。
人間の正も、聖も、性も、負も不もすべて、慈悲とか愛とかではなく、ただ淡々と受け入れる、受け入れるけれど、ちゃんと秩序を守ってもらわないと困る、こちらがコントロールもしますよ、という感じが、あの美しい兵隊さん達の銃口から感じられました。
レンブラントの絵のような「光と影」の明暗の国では、こんな対極なものが対比されていた気がします。
道端のコンクリートの石くず ⇔ 一大産業のダイヤモンド
ゴーストタウンのくずれそうな古い石造りの家並み ⇔ 現代的な高層ビル群
腐敗したアルコールとごみの匂い ⇔ 街中に強烈に香っているDiorのSAUVAGE
道の上に散乱するごみに埋もれた人々 ⇔ 明るく楽しそうにテキパキと働くゴミ収集車の方々
昼間っから酔っぱらってくだを巻いているベトベトに汚れた服を着ている失業者達 ⇔ 金融会社などに勤めるスマートでおしゃれにワイシャツの衿を立てているエリート達
道端にぼろきれを敷いて座る物乞い達 ⇔ 素敵な豪邸に住むお金持ち達
ストリート・ミュージシャンや物乞いの方々が仲間にしている、ちょっと太めの大きなワンちゃん達 ⇔ おしゃれなお金持ち達がおしゃれにリードして散歩をする小さなこぎれいなワンちゃん達
優しくてちょっと弱々しい男性達 ⇔ 強くて明るい女性達
飾り窓の中でポーズを取る下着姿の太目な黒人の女性達 ⇔ 上向きに颯爽と歩くお高い感じの金髪白人のキャリアウーマン達
道で大騒ぎをしているスラム街の浅黒い肌の若者達 ⇔ モデルのように長身で恰好良いベレー帽を被って銃を持つ迷彩服の白人の兵隊さん達
精神疾患を持ち、行き場がなくGEELの病院と街で暮らしている人々 ⇔ どんな人も受け入れてホームステイをさせてくれているGEELの街の人々
これは違う国でしょうけど、FROZEN(アナと雪の女王)の中の
魔法に掛けられた寂しく孤独な姉 ⇔ 何事も積極的で明るく前向きな妹
極端に大きく対比するものが、差別されずに受け入れられて互いに認め合い融合しているところ、それがベルギー…なのかな、という結論に至りました。